いつ大きな地震が来てもおかしくない今の時代に、住宅の耐震性を考えることは非常に重要なことです。
ですが、デザインが先行する形で、家の形は年々複雑になりがちです。複雑にしないと格好良くないような錯覚に陥っているんでしょうね。
僕たち、KEEL PROJECTが考えるのは至ってシンプルなことなんですね。
家の形は長方形を主体に考えていく。できる限り、付け足さない。極限までシンプルにすることで、耐震性は向上します。シンプルってときに誤解されがちだと考えます。
シンプルであればあるほど飽きが来ないんですね。なぜでしょうね。それは家の形自体が綺麗だからでしょうね。
と、建築士っぽいこと言いましたが、今回は耐震性と家の形についてです。
目次
家の耐震性はバランスと形状
家の耐震性を考えることは、地震の多い地域において特に重要です。家の形状やバランスが耐震性に影響を与えるため、建築設計段階でこれらの要素を慎重に考慮する必要があります。以下では、家の形状やバランスが耐震性にどのように影響するか、またそれをどのように考慮すべきかを説明します。
形状と耐震性
正方形や長方形のプラン
建物の平面形状が正方形や、正方形に近い長方形だと自信の力が均等に分散されやすくなります。それって構造体への負担が減るということにつながります。逆にです、複雑な形状のL型などの住宅は、地震時の力が不均一に加わるために、耐震性での弱点が生じやすくなりがちです。
地形や日照条件などの都合上、複雑な形状になる場合は、耐震性にゆとりを持たせることが重要となります。
対称性
建物が対照的な形状をしていると、地震時の力が均等に分布しやすくなります。それは構造的に安定していることを指します。しかしです、非対称的なデザインの場合、特定の部分にストレスが集中しやすくなります。水回りの下屋などがある場合、接合部分に力が過剰にかかる傾向があります。補強などでコストが増す恐れもあります。
できる限りシンプルな形状を目指したいですね。
コンパクトなデザイン
コンパクトな設計は、地震時の力に対して、耐震性を高めることになります。昨今では、物を増やさない生活スタイルや、小さくコンパクトなライフスタイルも人気がありますよね。大きな家や、大きな開口が多い設計などは、構造的なストレスが多いため、慎重な設計が求められます。
バランスと耐震性
重心と剛心
建物の重心と剛心(構造的な強度の中心)が一致していると、地震時に安定しやすくなります。重心が偏っていると、建物のねじれが生じやすくなり、傾きなどの原因になりかねません。
高さと幅の比
高層の建物や細長い建物は、地震の横揺れに対して脆弱です。基本的に、高さに対する幅の比率が大きい建物は、地震時の揺れによる影響を受けやすいため、構造設計において十分な考慮が必要です。
設計と材料の選定
耐震構造の採用
耐震ダンパーなどの現代の耐震技術を活用することで、地震のダメージを最小限に抑えることが重要となります。
材料の選定
耐震性に優れた材料や、柔軟性がある材料を選ぶことで、地震の力を効果的に吸収し、建物の安全を高めることが可能です。
地震に対する備えは、安全な暮らしを確保するために重要です。そのためには、住宅の形状やバランスをを考慮した設計を行い、耐震性の確保、適切な材料剪定、適切な施工を徹底することが基本となります。
外壁部での体力壁の確保
KEEL PROJECTでは、家族構成の変化や、変化するライススタイルに柔軟に対応したいと考えています。そのため、室内空間に可変性を持たせたいと考えています。そのためには、建物形状をシンプルにし、建物の外(外壁部分)で耐震性を確保できるように考えています。
耐震性を外壁部分の体力壁で担保するアプローチは、内部の空間を自由に設計できる大きな利点があります。
耐震性の担保
外壁を主な体力壁として利用します。基本は構造用合板でのモノコック構造とします。(フレームと外板ボディを一体化し、全体で剛性を保つ仕組み)
バランスが良く、シンプルな形状の住宅にすると、外壁面だけでも耐震性を確保することができます。あとは、耐震ダンパーなどを設置を考慮します。
間取りの可変性
内部の非体力壁を可動式にします。将来的な間取りの変更を容易にします。必要のない時は収納できるように設計しておきます。主に2Fの居室を検討する際などに有効となります。
これにより、オープンスペースの確保、追加の個室など将来的なニーズにも対応することが可能となります。
ただしです、稼働レールを仕込むため、ある程度の将来的な構想は、踏まえて置く必要があります。
施工の簡素化
シンプルな形状の住宅での耐震性はできる限り、外壁面で確保するようにします。シンプルであるがゆえに施工効率があがるため、コストダウンにもつながります。また、材料ロスなども極限まで無くすことが可能となります。
シンプルに考えよう
シンプルに考え、シンプルな形状にすることはで得られるメリットは多くあります。
コスト削減
素材の効率的使用
シンプルな設計は、必要最小限の素材で済むため、素材コストを削減できます。複雑なデザインに比べ、構造材料の量を減らすことが可能です。
コストの削減
シンプルな建築プランは、施工が容易であるため、労働コストを削減できます。複雑なデザインに必要な高度な技術や特殊な工具が不要になり、作業時間も短縮されます。
建設時間の短縮
よりシンプルな設計は、建設スケジュールを短縮できるため、間接費用の削減にもつながります。速やかにプロジェクトを完成させることが可能になります。
安全性の向上
構造的安定性
シンプルな形状(例えば正方形や長方形の建物)は、構造的に安定しており、耐震性にも優れています。複雑な形状よりも力が均等に分散され、地震などの外力に対する抵抗力が高まります。
保守のしやすさ
シンプルな設計は、メンテナンスが容易であるため、長期的な建物の安全性を確保しやすくなります。隠れた部分が少ないため、点検や修理が行いやすいです。
環境への配慮
シンプルな設計は、環境に優しい建築とも密接に関連しています。必要最小限の素材を使用することで資源の節約につながり、建設中の廃材も少なくなります。また、エネルギー効率の良い家づくりが可能になるため、運用コストの削減と環境負荷の低減が実現します。
シンプルな設計は、美学的な価値だけでなく、経済的および構造的な利点も多く提供します。これにより、持続可能で安全かつコスト効率の高い住宅を提供することができます。
まとめ
家の形は、耐震性にも影響を及ぼします。また、複雑な形状になればなるほど、住宅のバランスを確保するのが難しくなります。
住宅の第一の目的はそこに住む家族の安全を担保することです。そのためには、シンプルな形状であることが第一なんだと考えます。
KEEL PROJECTでは耐震性を高めながら、高性能な省エネ木のエコハスをつくっています。木の家こそ耐震性を高めた高性能な省エネエコハスにすることが重要です。